フランク,A.G.(読み)ふらんく

世界大百科事典(旧版)内のフランク,A.G.の言及

【経済学説史】より

…イギリスのM.ドッブやR.ミーク,アメリカのP.スウィージーといったすぐれたマルクス経済学者は例外的で,孤立的な点在にとどまっていた。しかしP.スラッファの《商品による商品の生産》(1960)に始まる新リカード学派の台頭による新古典派理論の威信の低下,南の諸国の急進的革命運動に理論的基礎を与えようとするA.G.フランクやS.アミンらの新従属学派(従属論)の登場,さらに社会思想や政治運動の内部に広がる欧米のマルクス・ルネサンスの波などを介して,1970年代以降欧米にマルクス経済学の再生運動が広がり,かなりの数のマルクス経済学者の層が形成され定着してきている。 その基礎理論における関心は,まず転化問題から価値論にむけられた。…

【植民地】より

…そこからは,伝統的経済をひとしく封建制とみなしてその残存を低開発の主要因と考え,ウェスタン・インパクトの農村部への伝播こそが発展を生みだすとする〈近代化〉論的開発政策が導きだされた。(2)植民地資本主義説 二重社会論的視角は,ヨーロッパ的近代化を普遍的モデルとする〈単線的発展史観〉であるがゆえに誤りであるとし,むしろ低開発は,16世紀以来膨張過程に入った世界資本主義システムへの従属的統合によって生みだされたとする批判が,ラテン・アメリカ従属論の代表的論客であるフランクAndre Gunder Frankによってなされた。しかしフランクは,流通面における統合から短絡的にラテン・アメリカ内部の資本主義化を結論づけてしまった。…

【マルクス主義】より

…すでにいくつかの試みはある。 たとえばフランクAndré Gunder Frankは中枢国による衛星国の収奪として,また衛星国内部での中枢による周辺農村の収奪として世界資本主義の発展を解明しようとし(従属論),エマニュエルArghiri Emmanuelは新従属理論を打ち出して,中枢と周辺の貿易のなかに不等価交換を見いだし,そしてアミンSamir Aminは周辺資本主義の経済構造そのもののなかに中心資本主義への隷属と低開発を余儀なくする要因を見いだす。いずれもマルクス主義を武器としながら,世界資本主義の構造分析のなかに解決の鍵を求めていくのだが,しかしアジア的生産様式,古典古代の奴隷制生産様式,封建的中世の生産様式,近代ブルジョア的生産様式からさらに社会主義へと展開する社会構成の発展段階説はここでは否認され,またこれらの発展理論に基づく革命理論,たとえば二段階革命ないしブルジョア民主主義革命なども意味を失うことになるのである。…

※「フランク,A.G.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

デジタル貿易

国境を越えて、データや情報の移転を伴う商取引の総称。ECサイトやコンテンツ配信サービスの利用、国外にある宿泊施設の予約など、インターネットを基盤とし、電子的または物理的に提供される製品・サービス全般を...

デジタル貿易の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android