世界大百科事典(旧版)内のフランスの威信の言及
【ゴーリスム】より
…この危機の中でド・ゴールは事態を救う唯一の人物として多方面の期待を集めて再登場し,その復権をファシズムの再現とみなしたフランス共産党の反対をよそに,〈挙国内閣〉を成立させ事態に対処するとともに新憲法を制定し,国民投票で圧倒的多数の承認をかちとり,第五共和政を発足(1958年10月)させた。新憲法のもと,ド・ゴールは大統領となり,大統領と政府の指導力を強化し,最大の難問アルジェリア戦争を終結(1962)させ,国際政治のうえでは,米ソ二超大国に対抗してフランスの威信を強調,第三世界諸国にも接近政策をとるなど独自の外交政策を展開する一方,国内では,〈指導された経済〉の名のもとで産業高度化を目指すなどの改革に取り組み,こうした第五共和政の政策体系や諸制度,あるいはそれを支える権力構造のあり方もまたゴーリスムの名で呼ばれることとなる。ド・ゴールの権威を頂点にしたこうした第五共和政の政治体制は,この時期,フランス共産党などから彼らが第2次大戦後の政治理念とした〈民主主義〉に反する独裁権力とみなされ,しばしばファシズムやボナパルティズムと対比された。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」