朝日日本歴史人物事典 「ヘフト」の解説
ヘフト
生年:1821.9.24
幕末に来日したオランダの実業家。ヘフト家の伝統である船乗り稼業を経て,文久2(1862)年横浜に定住し食料・雑貨店を開き,船具や弾薬などの販売も兼ねた。消防活動に異常な情熱を傾け,居留地の消防組織ができる前より消防車を輸入し消火に貢献した。自ら手動式消防ポンプを開発し,これが日本の消防隊に採用されたりもした。領事館の陪席判事を務めたり,英字紙の発行に参画するなど公共的な活動にも尽くし,明治3(1870)年わが国初の西洋劇場となるゲーテ座の前身を建て,さらにビール醸造所を設立した。ビール工場からは8年に手を引いたが,劇場の方は18年山手に新築が成り,演劇・演奏会のメッカとなった。横浜で没した。
(澤護)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報