世界大百科事典(旧版)内の《ヘロイデス》の言及
【書簡体小説】より
…小説という散文作品のなかで手紙が主要な叙述手段であり,その手紙の全体もしくは一部が虚構の書簡で構成されたものを指す。もっとも古い形は,紀元1世紀初頭ころのローマのオウィディウスの《ヘロイデス(名婦の書簡)》で,これは伝説中の美女たちと交わす書簡体の詩篇で,したがって散文ではない。20世紀においてもモンテルランの《若き娘たち》(1936‐39),日本では志賀直哉の《(むしば)まれた友情》(1947)などこの手法の小説は散見されるが,文学史的に見て,この技法が流行を見たのは17世紀後半から19世紀中期までの西欧文学においてである。…
※「《ヘロイデス》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」