世界大百科事典(旧版)内の《ベリー公のいとも豪華なる時禱書》の言及
【コロンブ】より
…フランス宮廷に関係する王侯貴族のための豪華な写本挿絵を制作した。ランブール兄弟が未完のままのこした《ベリー公のいとも豪華なる時禱書》を1480年代にサボア公のために完成させた。代表作に《ルイ・ド・ラバルの時禱書》(1480‐85ころ),《ロミュレオン》(1490ころ)などの挿絵がある。…
【時禱書】より
…おもな写本彩飾画家としては,14世紀前半イギリスの《グレー・フィッツ・ペインGrey‐Fitz Paynの時禱書》や《テーマウスTaymouthの時禱書》などの作家たち,フランスのJ.ピュセルやJ.ド・エダンらがいる。しかし時禱書の最初の黄金時代を築いたのは《ベリー公のいとも豪華なる時禱書》(15世紀初め)を描いたランブール兄弟で,彼らは初めてカレンダー・ページに貴人や農民の生活を季節感のあふれる自然の中に描写した。その後この月暦表現の伝統は,15世紀末から16世紀前半にかけてブリュージュで国際的な写本工房活動を行ったアレクサンダー,S.ベニングやホーレンバウトらに継承された(事実,このベリー公の写本は,16世紀前半ネーデルラント総督マルガレータの時代に,一時メヘレンの宮廷で所蔵され,フランドルの写本制作に影響を与えたと思われる)。…
【農事暦】より
…例えば,フランスのランス大聖堂の半円形アーチの彫刻,イギリスのカーライル聖堂内陣の柱頭の彫刻,ヘリフォード・ウースター州の寒村リップル村教会内陣の聖職者席のミゼリコルディアの彫刻,スイスのローザンヌ大聖堂のステンド・グラスなどにそれがみられる。また,〈労働の暦〉は中世の貴族が愛蔵した多くの時禱書にも描かれているが,《ベリー公のいとも豪華なる時禱書》の冒頭を飾るものがとくに有名である。農事暦は所領を経営する領主にとっても必要であったため,13世紀イギリスの農書《Treatise of Husbandry》にも記載されている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」