世界大百科事典(旧版)内の《ホメロス風賛歌》の言及
【ホメロス】より
…いずれもアイオリス地方に隣接するイオニア地方の町で,キオス島にはまた叙事詩吟唱を代々の職業とするホメリダイHomēridai(〈ホメロスの後裔〉の意)なるギルド的団体があったことが知られているが,ホメロスの言語がイオニア方言を基調とし,そこにアイオリス方言を交えたものという事実を考え合わせると,この地方を中心として活躍した人物と思われ,その終焉の地は,伝承が一致して挙げるイオス島であったのかもしれない。なお,ホメロスを盲目の詩人とする巷説は,《ホメロス風賛歌》中の〈アポロン賛歌〉にある〈峨々たるキオスに住む盲(めしい)の人〉という作者自身への言及に由来するもので,ヘレニズム時代以降のホメロスの胸像等はつねに彼を盲目の老人で表現している。 最後に作品については,古くは二大叙事詩のほかにも,〈叙事詩圏〉中の《テーバイス》《エピゴノイ》《キュプリア》や,滑稽詩《マルギテス》(これらはいずれも断片しか伝わらない),約300行の《蛙鼠(あそ)合戦》,長短30数編の《ホメロス風賛歌》などが彼に帰されていたが,今日では,《イーリアス》《オデュッセイア》以外はいずれもホメロスの作にあらずと判断されている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」