世界大百科事典(旧版)内のボルンカム,G.の言及
【イエス伝】より
…したがって,史学的に厳密な方法に基づくイエス伝の叙述はもはや不可能とされ,これはとくにドイツを中心とする新約聖書学の共通の認識であると言える。もちろん,様式史と編集史的研究以後,現代の信仰にとって〈史的イエス〉の有する意義を再確認しようとする優れて聖書神学的な意図から,単にイエスの言葉を超えて彼のふるまいも活発に問われ,ボルンカムGünther Bornkamm(1905‐ )の《ナザレのイエス》(1956)はその一つの結実であるが,そこでもやはりイエスの生涯の伝記的再構成は断念されている。そのほか,イエスは彼自身の宣教活動とともに〈神の国〉が実現しつつあるものと考えていた(〈実現しつつある終末論〉)とする見解や,また自分をいかなる〈メシア的称号〉によっても表示することはなかったが,その実際の活動そのものの中に伝統的なメシア教理では把握不可能な彼の人格の秘密が示されていた,とする見解が目下のところ有力である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」