まじめな喜劇(読み)まじめなきげき

世界大百科事典(旧版)内のまじめな喜劇の言及

【喜劇】より

…市民階級の勃興とともに生まれた市民劇では,初めて歴史上の英雄などではなく,市民を主人公とする悲劇も書かれるようになったが(それまで,普通の市民が登場する演劇はすべて喜劇であった),ジャンルの区別の厳しいフランスでは,悲劇的な市民劇でも,結末だけはハッピーエンドに終わらせた。ディドロの提唱する〈まじめな喜劇comédie serieuse〉や,催涙喜劇comédie larmoyanteというジャンルがそれで,ドイツでも感傷喜劇が流行した。G.メレディスの《喜劇論On the Idea of Comedy》(1877年講演,97年出版)では,社会的な発展の遅れた国で,よい喜劇は生まれない例としてドイツを挙げているが,共感できる主人公の登場するレッシングの《ミンナ・フォン・バルンヘルム》のような喜劇は,モリエール流の喜劇とはジャンルの異なる温かい情をもったドイツ的喜劇とみるべきだろう。…

【市民劇】より

…フランス語drame bourgeois(ドラム・ブルジョア)の訳語で,18世紀半ばの市民階級の台頭とともにヨーロッパ(フランス中心)におこった一群の演劇をさす。とくに〈町民劇〉とも訳される。 18世紀前半までは,多くの戯曲はギリシア・ローマ古典劇の方法にのっとって作られており,悲劇の主人公は,神話的人物,王侯,歴史的な大人物に限られ,普通の市民の登場する演劇はすべて喜劇であった。アリストテレスの《詩学》では,悲劇の主人公が偉大な人物でなければならないのは,破滅の際の落下の距離が大きい方が,悲劇的な効果も大きいからと説明している。…

※「まじめな喜劇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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