世界大百科事典(旧版)内のマートン規則の言及
【ニコル・オレーム】より
…彼の学問的業績は多岐にわたるが,なかでもとくに注目に値するのは,《天体・地体論》における地球の日周運動に関する詳細な検討と,《性質と運動の図形化について》における形相の強化と弱化の問題に関する理論的展開である。前者について彼はビュリダンの成果をさらに一段と押し進め,地球の日周運動論にたいする従来の自然学的,天文学的,神学的反論がすべて論駁されうることを説得的に示すとともに,後者についてはグラフ表示の方法を案出して,直観的に理解しやすい仕方でいわゆる〈マートン規則〉(等加速度運動における通過距離は,初速度と終速度の平均速度をもつ等速度運動が同じ時間に通過する距離に等しい)を証明した。彼の後世への影響については不明な点が数多く残されているものの,14世紀のスコラ哲学者のなかでもっとも卓越した人物の一人であることがしだいに明らかにされつつある。…
※「マートン規則」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」