世界大百科事典(旧版)内のモード記譜法の言及
【音楽】より
…それらはグレゴリオ聖歌という土台の上に築かれた壮大な音の構築物で,ゴシック様式の大聖堂にも似た趣を備えている。このようなポリフォニーの発展は合理的な記譜法の存在と不可分の関係にあり,11世紀初頭に譜線を用いた譜表記譜法によって相対的な音高が正確に表示されるようになったのち,六つのリズム・パターンを組み合わせるノートル・ダム楽派のモード記譜法を経て,13世紀後半には個々の音の長短を明示する定量記譜法も体系化された。教皇権と皇帝権という二つの中心をもっていた西欧社会は,14世紀に入ると教皇権の失墜によって大きく変化し,世俗権力の増大や商業都市の繁栄を背景として音楽にも明らかな世俗化の傾向が現れてくる。…
【楽譜】より
…今日でもローマ・カトリック教会では,グレゴリオ聖歌集に4線譜つき角形ネウマを採用している。
[モード記譜法]
12世紀末ころから,多声音楽の各声部がそれぞれ独立した動きを行うようになり,各声部のリズムの対比とその明確な表示法が求められるようになった。このため,12世紀末から13世紀にかけてノートル・ダム楽派の多声楽曲には,6種のリズム・パターン(リズム・モード)を角形ネウマの連結符(リガトゥラligatura)の並び方によって表示する,モード記譜法(モーダル・ノーテーションmodal notation)が用いられた。…
※「モード記譜法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」