世界大百科事典(旧版)内のヤクシーの言及
【インド美術】より
…またマトゥラーではジャイナ教美術も栄え,多数の祖師像をのこしているが,その像容は仏陀像と大差ない。仏教,ジャイナ教を問わず造られた豊饒・多産の女神ヤクシー(夜叉女)は,ほとんど全裸の豊かな肉体を誇示したもので,マトゥラー彫刻の官能的な一面を代表している。またイラン風の服装をしたクシャーナ朝の諸王や戦士の像も重要である。…
【八部衆】より
…(3)夜叉,薬叉(ヤクシャyakṣa) 森の神として福神と鬼神の両面をもつ。夜叉女(ヤクシーyakṣī,ヤクシニーyakṣiṇī)は多く豊満な裸女で表され,毘沙門天の部下とされる。(4)乾闥婆(けんだつば)(ガンダルバgandharva) 帝釈天に仕える音楽神で香(ガンダgandha)を食べて生きるとされ,ギリシア神話のケンタウロスとの関係も指摘されている。…
【夜叉】より
…諸経典によって異なった特色が説かれ,人を畏怖させる異形であったり,人の精気を奪い,または人を食うなどさまざまな性格を兼ね備えた鬼類と考えられていたことが知られる。ヤクシャはベーダが作られた時代(前2000‐前500ころ)には早くも守護神として現れ,ヤクシャの女神であるヤクシーは,さらに古い時代から山や樹木の精,あるいは生産力の象徴である地母神として信仰された著名な存在であった。ヤクシーはヤクシニー(薬叱尼,薬廁抳)ともいわれ,樹下に立つ豊かな肉身の美人像として表現され,インド美術を代表する傑作が多い。…
※「ヤクシー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」