世界大百科事典(旧版)内の《ユーフュイーズ》の言及
【エリザベス時代】より
… 散文の分野では,おびただしい量の宗教的著作と歴史編纂,航海記録と並んで,ホメロス,プルタルコスなど古典の翻訳が盛んにおこなわれる一方,現実社会の諸相を風刺的に描くパンフレットや,自然と人生の諸問題を哲学的に省察する文章も,多くものされた。また,華麗な文体で書かれたジョン・リリーの恋愛物語《ユーフュイーズ》やフィリップ・シドニーの牧歌的ロマンス《アーケイディア》はイギリス最初の小説として,1611年に公刊された《欽定訳聖書》とともに,文学史上特記さるべき地位を保っている。詩の分野では,絵画的描写と音楽美にあふれたエドマンド・スペンサーの長大な寓意叙事詩《神仙女王》が名高いが,ソネットをはじめとするさまざまな詩形の短い抒情詩も流行した。…
【リリー】より
…オックスフォード,ケンブリッジ両大学で教育を受け,一時政治にたずさわったが,しだいに文筆に親しむようになった。彼の文名を一躍高めたのは,散文形式のロマンス《ユーフュイーズ》2巻(1578,80)である。ギリシア王子とイタリア王子の,旅,友情,仲たがい,恋のさやあて,和解などを語るもので,筋は単純だが,文体に著しい特徴があった。…
※「《ユーフュイーズ》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」