世界大百科事典(旧版)内のリプレッションの言及
【アロステリック効果】より
…たとえば,大腸菌などの微生物におけるL‐イソロイシンの生合成を研究していたアンバーガーH.E.Umbargerらは,この代謝経路の初発段階としてのL‐トレオニンの脱アミノ反応が,最終産物であるL‐イソロイシンによって特異的に阻害される事実を発見し,また,パーディーA.B.Pardeeらは,トリプトファンやCTP(シチジン三リン酸)の合成経路で同様なフィードバック制御が働いていることを見いだした。オペロン説における酵素合成のリプレッションrepressionは,ある物質の生合成に関与するすべての酵素タンパク質の生合成が,最終産物によって抑制される現象であるが,上記のフィードバック阻害は,初発段階に位置する酵素の活性のみが,最終産物によって阻害されることを意味する。上述の例においては,トレオニン脱アミノ酵素の活性はL‐イソロイシンにより,またアスパラギン酸カルバモイルトランスフェラーゼの活性はCTPによって可逆的に阻害されるが,第2段階以降の酵素の活性はまったく影響されない。…
※「リプレッション」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」