世界大百科事典(旧版)内のロンドン・スモッグ事件の言及
【公害】より
…1914年にニュートン卿Lord Newtonを議長とする委員会が大気汚染の調査をしたが,21年の最終調査報告書では,工場地帯の中で成育した人々は煙の存在に繁栄を見,環境の悪化を経済生活の豊かさと思い違いをし,地方団体も中央政府も環境の改善に無為であったと痛烈な結論を下している。実際に1世紀にわたり公害対策は進まず,52年12月のロンドン・スモッグ事件では約4000人の過剰死亡者を出した。そしてこの事件を契機として56年,大気汚染に関する法律が全面改正されて〈大気清浄法The Clean Air Act〉が制定され,ようやく実効が見られるようになった。…
【スモッグ】より
…スモークsmoke(煙)とフォッグfog(霧)との合成語。デ・ボーH.A.Des Voeuxによって作られ,1905年イギリスで初めて公に使われた。第2次世界大戦後からよく使われるようになり,日本でも55年ころに新聞紙上で使われ始めた。学問的な定義はなく,狭義にはばい煙で汚れた霧を意味し,後に述べるロンドン事件を象徴することばであった。近年は,気象上の視程が減るという大気汚染の状態を指すことばとして広義に使われ,とくに光化学スモッグを指す場合が多い。…
※「ロンドン・スモッグ事件」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」