世界大百科事典(旧版)内の《ローマ帝国社会経済史》の言及
【ローマ没落史観】より
…ローマの繁栄を〈古代資本主義〉とみてその形成条件の消失に没落原因を求めるM.ウェーバー,コロヌス制(コロナトゥス)の成立に古代の終焉をみるウェスターマンW.L.Westermannも社会経済的要因を重視する立場に立つ。3世紀の危機を都市ブルジョアジーと農民大衆の対立としてとらえて経済的没落原因論を拒否したロストフツェフも,その《ローマ帝国社会経済史》における分析では,市場の外延的拡大に伴う属州の生産地化とイタリアの経済的下降が,帝国の社会経済的構造を崩壊させたとしている。ロストフツェフの立論に影響を受けたウォールバンクは,国内市場の狭隘(きようあい)と奴隷制という古代経済の構造自体に古典古代的都市国家没落の基因をみ,またファシズムへの嫌悪を反映して,後期ローマ帝国を強制を原理とする〈組合国家〉と規定した。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」