《われらの時代に》(読み)われらのじだいに

世界大百科事典(旧版)内の《われらの時代に》の言及

【ヘミングウェー】より

…帰国後シカゴの作家S.アンダーソンの手引きもあって創作に志し,カナダの週刊紙の特派員を務めるかたわら,G.スタインやE.パウンドの助言のもとにパリで執筆に励む。《三つの短編と10編の詩》(1923)および短編集《われらの時代に》(1925)は,医師である父親の手ほどきを受けて北部ミシガンの自然のなかで釣りや猟銃の腕を磨いた少年時代から,戦地で死の重傷を負うまでの作者自身の体験を,つとめて抽象化をさけた独特の即物的な文体で描く,切れ味のよい秀作を多数収めている。しかもここに見られるいくつかのテーマ,例えば暴力と死の脅威にさらされた世界の不条理性の自覚,救いようのない戦いを強いられながら勇気ある敗者の誇りを貫こうとする不屈の意志,そして空虚な観念よりも純粋な感覚の充足に確実なよりどころを求める生き方などは,その後のすべての作品の基調を予告する。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」