ケステン,H.(読み)けすてん

世界大百科事典(旧版)内のケステン,H.の言及

【新即物主義】より

…すなわち,新即物主義の文学は,事実に即し事実そのものに語らせようとするが,19世紀の自然主義の客観的写実とは異なり,生の仮面をはぎながらも,その傷口を嘲笑やグロテスクでニヒリスティックにおおい隠そうとする,いわば知性主義によって貫かれていた。したがって,その代表的作品には,東は犯罪,中央は詐欺,北は貧困,西は淫乱の大都市ベルリンを舞台としたものが多く,再生を誓う前科者の一労働者の物語,デーブリーンの《ベルリン・アレクサンダー広場》(1929),小市民の憂鬱な生活を描いたH.ファラダの《安サラリーマン,さあどうする》(1932),ともにアウトサイダー的インテリ青年の悲劇的運命を戯画化したケストナーの《ファービアン》(1931)とケステンHermann Kesten(1900‐96)の《山師》(1932)などがあげられる。とりわけ《ファービアン》は,20年代末の犯罪,詐欺,貧困,ポルノなど大都会の退廃を即物的に描いたがゆえに〈アスファルト文学〉とも酷評されたが,主人公にみられるわざとらしいむとんちゃくさと一抹のロマン主義は,〈黄金の20年代〉に支配的な生活気分で,新即物主義の一面でもある。…

【ワイマール文化】より

…もっとも特徴的なのは,第1次大戦の前線世代を代表して,俗物的な市民の日常生活のアウトサイダーとしての心情を,耽美的な革命的ナショナリズムの文学に形象化したユンガーであり,様式上のアバンギャルド性が小市民的な夢想と分かちがたく結びついているG.ベンである。ケステンHermann Kesten(1900‐96)はワイマール時代の最終段階の人間像を形象化して,いわば英雄伝説をネガティブに逆転させた《いかさま師》(1932)を発表し,同一人物において才能といかさまが混合しているこうした傾向を象徴した。
[美術]
 モダニズムのゲルマン的変種である〈橋(ブリュッケ)〉〈青騎士(ブラウエ・ライター)〉といった表現主義絵画グループは,すでに第1次大戦前に成立していた。…

※「ケステン,H.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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