ラウダ(読み)らうだ

世界大百科事典(旧版)内のラウダの言及

【イタリア演劇】より


[ルネサンス以前]
 イタリア演劇の発生的形態は,12世紀から13世紀にかけて中部イタリアを中心に歌われたり,演じられたラウダlauda(神をたたえる歌)であるとされているが,それはかならずしも演劇ばかりではなく,オラトリオやオペラの起源でもある。このラウダの作者や演じ手は,主として〈兄弟団〉といわれる宗教組織に属する聖職者たちであった。…

【イタリア音楽】より

… 11世紀の末ごろから南フランスで盛んになったトルバドゥールの芸術は,13世紀のイタリアでトロバトーレの活動をうながすことになり,ダンテらもその影響を受けたようであるが,トロバトーレの歌の楽譜は一片も残っていない。13世紀には,聖フランチェスコ(アッシジの)の宗教運動と結びついた,典礼外の単旋宗教歌ラウダ(賛美の意)の創作が盛んになった。ラウダの歌詞は当時の中部イタリアの俗語で書かれており,その詩形には,トルバドゥールの流れをくむ北フランスのトルベールによって形の定められたビルレーvirelai(中世フランスの音楽および詩の形式)の影響が認められる。…

【オラトリオ】より

…しかしこの伝統は,M.A.シャルパンティエによってパリに伝えられただけで,19世紀まで挙げるべき作品はない。一方,民衆的宗教歌(ラウダ)や宗教的マドリガルから起こったイタリア語によるオラトリオは大きな影響力を持ち,17世紀ローマで,独唱における叙唱とアリオーソ(アリア風旋律)の交代,語り手,合唱を重視した作品がL.ロッシやB.パスキーニなどの手で作られた。17世紀後半ベネチア・オペラの影響を受け,叙唱(レチタティーボ)のセッコとアコンパニャートの分離,叙唱とアリアの対比,管弦楽伴奏の重視が見られる。…

【キリスト教音楽】より

…しかし,フランスの詩人・音楽家マショーによるポリフォニックな通作ミサ曲(ミサ通常文を一貫して多声部の楽曲に作出したもの。ミサ曲)をはじめとする諸作品があり,また俗語を歌詞とする宗教的な歌曲ラウダlauda(イタリア)やキャロルcarol(イギリス)なども隆盛に向かった。 15~16世紀は,ルネサンスの古典対位法の作曲技法の完成によって,ミサ曲やモテットなどの合唱ポリフォニーの作品が,比類のない芸術的な高みに達した時代である。…

【賛美歌】より

…やがてキリスト教はアルプスの北方に定着し,北欧諸言語による賛美歌が出現する。中世のドイツのライゼLeise,北欧のクリスマス・キャロルをはじめ,イタリアのラウダlauda,ポルトガル,スペインのカンティガcantigaなどが隆盛をみた。 16世紀の宗教改革は賛美歌史上に新たな局面をもたらし,とくにドイツのコラール,カルバン派やイギリスの詩篇歌など,カトリック典礼音楽となんらかのかかわりを保ちつつも,自国語による各国各派固有の賛美歌が飛躍的な進展をみた。…

【中世音楽】より

…イタリアにもトロバトーレがいて,ダンテらもその影響を受けたらしいが,彼らの音楽は伝わっていない。13世紀には,アッシジのフランチェスコの宗教運動と結び付いた,俗語による単旋律宗教歌ラウダlauda(賛美)が中部イタリアで作られ,同じ頃スペインでは,カンティガcantiga(歌)が作られた。これらの非典礼的宗教歌は,形式的には単旋律世俗歌の一形式であるビルレーvirelai(スペインではビリャンシーコvillancico)と深いかかわりをもち,聖堂外での信徒の集団的な宗教行為(悔悛の苦行など)に用いられた。…

※「ラウダ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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