世界大百科事典(旧版)内の与兵衛ずしの言及
【江戸前】より
…しかし,《物類称呼》(1775)には〈江戸にては,浅草川,深川辺の産を江戸前とよびて賞す,他所より出すを旅うなぎと云〉とあり,《江戸買物独案内》(1824)を見ると,江戸前,江戸名物などととなえているのはすべてウナギ屋で,すし屋はほとんどが御膳と称している。ちなみに,握りずしは文政年間(1818‐30)ころ江戸両国の与兵衛ずしが売り始めたもので,その人気が高まるにつれ,ウナギ屋にとってかわってすし屋が江戸前を称するようになったものである。【鈴木 晋一】。…
【すし(鮓∥鮨)】より
…そして,切りずしの一切れ,笹巻ずしの1個を下敷きにしてくふうされたのが江戸の握りずしである。 握りずしは文政年間(1818‐30)に江戸両国の与兵衛ずしの初代,花(華)屋与兵衛(1799‐1858)の創案になるとする説があるが,それ以前にもなん人かが試みていたという説もあるから,与兵衛がそれを完成,定着させたものというべきであろうか。《誹風柳多留(はいふうやなぎだる)》第108編(1829)に〈妖術といふ身で握る鮓の飯〉という句がある。…
※「与兵衛ずし」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」