世界大百科事典(旧版)内の中間知の言及
【恩寵】より
…また半ペラギウス主義は,人間は自由意志によってみずからを恩寵を受けるにふさわしい状態に置きうると説く。このような立場はアウグスティヌスを先導とするキリスト教神学の展開のなかで退けられたが,16世紀以降,恩寵と人間的自由の関係をめぐって激しい論争が起こり,バニェスD.Báñez派が救いへと導く人間の自由な行為は恩寵によって有効に発動させられると説いたのに対して,モリナ派は人間的自由をより積極的に弁護する必要があるとして,神の摂理・預定と人間的自由の両立可能性を説明するための〈中間知〉の理論を提示した。神の絶対的な恩寵や摂理が人間の自由を破壊せず,かえって後者を真の自由たらしめるという真理は人間理性によっては測りがたい神秘であり,これを説明しつくそうとする試みは神に対する真実の信仰とは相いれないといえる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」