世界大百科事典(旧版)内の《五命題》の言及
【ジャンセニスム】より
…これは,ルネサンスと宗教改革に衝撃を受け,近代世界にどう対応すべきか模索していたカトリック神学の一つの極限的解答であり,キリスト教とヒューマニズムとの調和を図る近代主義的傾向――その代表がイエズス会である――の対極にある立場である。この両傾向は16世紀中ごろからしばしば論争を重ねてきたが,1640年ヤンセンの遺著《アウグスティヌス》の出版とともに論争は再燃し,53年同書から引き出されたと称する〈五命題〉がローマ教皇により異端宣告を受けた。これに対してヤンセンの友人サン・シランの指導を受けたポール・ロアイヤル修道院に集う人々は神学者A.アルノーを中心として,五命題そのものの異端性は認めながらも,それが《アウグスティヌス》中に見いだされることを否定することによって,彼らの目には正統アウグスティヌス的と見える恩寵論を擁護しようとした。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」