世界大百科事典(旧版)内の人返し令書の言及
【人返し】より
… 初期の戦国大名は,この領主間の人返し紛争の調停を重要な契機とし課題として登場してくるのであり,やがて戦国後期には,この紛争を避け大名の軍役体系や農村支配を安定させるために,戦国大名は他人の者を抱えることを違法とする,全領国規模の人返し政策を〈国法〉として展開するにいたる。すなわち,他領や他人のもとに逃亡した欠落者の連れ戻しを希望する本領主や本主は,まず大名に申請して人返し令書の交付を受け,それをもって欠落先の領主,代官,主人などに自分で返還請求を行う,というしくみがそれである。朱印状の形式をとった大名の令書には,しばしば本主名のほか欠落者の名前や逃亡先も明記され,国法にまかせて領主,代官に申し断り,きっと召し返すべしなどと付記され,この請求に従わないものは大名の命令に対する違反として処罰される規定であった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」