佐為王(読み)さいおう

朝日日本歴史人物事典 「佐為王」の解説

佐為王

没年:天平9.8.1(737.8.30)
生年:生年不詳
奈良時代の王族官人。敏達天皇の5世孫か。三野王県犬養橘三千代の子。兄は葛城王(橘諸兄)。和銅7(714)年1月無位から従五位下に叙せられたのは,21歳に達したためか。養老5(721)年1月楽浪河内,塩屋古麻呂らと共に,東宮の 首皇子(のちの聖武天皇)に教育係として侍す。天平6(734),7年ごろ内匠寮長官。同8年11月,母が和銅1年に賜った橘宿禰姓を,兄葛城王と共に賜りたいと願い許され,橘佐為となる。死去したとき正四位下中宮大夫兼右兵衛率。聖武夫人の広岡古那可智は娘。天平初年ごろ,風流侍従のひとりとしてみえる狭井王(『藤氏家伝』下)は彼のことであろう。

(館野和己)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の佐為王の言及

【橘佐為】より

…橘古那可智(こなかち)(聖武天皇夫人)の父。佐為王と称したが,736年(天平8)11月,臣籍に下って母の氏姓を称することを請い,許されて橘宿禰佐為と名のった。737年8月,おりからの天然痘の流行によって死亡した。…

※「佐為王」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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