世界大百科事典(旧版)内の作業記憶の言及
【エキスパートシステム】より
…プロダクションシステムの概念は,人間の記憶に関する認知的な考察に基づいて提案された。このモデルによると,人間の記憶には,問題解決に関する情報を保持する長期記憶(プロダクションメモリー)と,外界から得られた情報を一時的に保持する短期記憶(ワーキングメモリー,作業記憶)がある。そして,短期記憶で認知された情報が長期記憶中の知識と照合されて行動につながり,この繰り返しで問題解決が進行する。…
【記憶】より
…こうした二重貯蔵モデルは,その名の通り,貯蔵すなわち情報の保持を中心に扱ったモデルであるが,近年になって,情報の処理を中心に考えられたモデルが提案され,しだいに有力なものになりつつある。とくに,短期記憶のモデルで説明されていた領域において作動記憶(作業記憶と呼ばれることもある)という概念が登場し注目を集めている。作動記憶を採り入れたモデルは幾つかあるが,共通しているのは,積極的に情報処理に関わる機能を与えている点と,その処理能力や容量に一定の限度を設けている点である。…
【注意】より
…〈前注意過程が無意識下で簡単な前処理を行い,そこで選択された重要な感覚情報についてのみ,注意を集中してより深い処理を行う〉という情報処理モデルが,有用とされた。この後者の注意過程が,ほぼワーキングメモリー(作業記憶)に対応し,また意識化でき言語的に報告できる過程にも対応するとみなしうる(これらの点についてはクラツキーR.L.Klatzky《記憶と意識の情報処理》梅本尭夫監,川口潤訳,サイエンス社,1986を参照されたい)。 これに関連して,注意の機能はまた,刺激依存性(ボトムアップ)の神経過程と課題あるいは意図依存性(トップダウン)の過程との関係をみるうえでも重要である。…
※「作業記憶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」