朝日日本歴史人物事典 「備前国宗」の解説
備前国宗
鎌倉末期の備前(岡山県)の刀工。備前では鎌倉時代中期に興った長船派が主流をなしていたが,国宗は長船派とは流派を異にする直宗派の刀工で,直宗の子の国真の3男と伝え,備前三郎国宗といわれた。直宗の作は現存せず,国真は太刀が1口ある。国宗には「国宗長船住人正和二二年」と銘した太刀があって,住所と作期を明らかにするが,これを2代の作とする2代説と晩年作とする1代説がある。作風は正和4(1315)年銘は直刃であるが,初代作あるいは初期作といわれるものは,華やかな丁字に互の目を交えた作が多い。その代表作が鹿児島照国神社蔵の太刀で,これを含め4口が国宝に指定されている。
(原田一敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報