世界大百科事典(旧版)内の公案禅の言及
【公案】より
…公案は,上述にあるように,もともと裁判所の判決のことであり,一度決定されると,何びともこれに従わねばならぬ,先例の意味より,従来の経論や教義以外に,仏法のよるべき公理として,これが禅の悟りを示す標準となった。とりわけ,禅が一般士大夫階級のうちに浸透する宋代は,参禅者を指導し,その悟境を開発する必要から,主として臨済系の禅僧によって公案が盛んに用いられて,公案禅の時代となる。たとえば,北宋末期の五祖法演や,南宋の大恵や無門恵開が趙州無字の公案を重視し,これを唯一の公案として,その工夫を説いたことから,公案とは無字のこととなり,日本でもその影響をうけて今日に至る。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」