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分子標的薬 ブンシヒョウテキヤク

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デジタル大辞泉の解説

ぶんしひょうてき‐やく〔ブンシヘウテキ‐〕【分子標的薬】

分子標的治療薬

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

分子標的薬
ぶんしひょうてきやく
Molecular target-based drugs

分子標的治療薬ともいう。標的となる細胞の特定分子に結合して効果を発揮する。
 分子標的薬には低分子(小分子)分子標的薬と抗体医薬(モノクローナル抗体)の2種があり、癌(がん)治療薬および関節リウマチの治療薬として注目を集めている。さらに眼科疾患の加齢黄斑変性症治療薬も創製され、新薬開発の目標ともなっている。
 低分子(小分子)分子標的薬の標的となる受容体は、(1)上皮成長因子受容体(EGFR)、(2)血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、(3)血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、(4)可溶性TNF(腫瘍壊死(えし)因子)‐α(アルファ)受容体、(5)ヒトIL(インターロイキン)‐6受容体などがよく知られており、作用機序(メカニズム)としてはチロシンキナーゼ阻害剤、Rafキナーゼ阻害剤、TNF‐α阻害剤、IL‐6阻害剤その他があげられる。イマチニブ(「グリベック」)、ゲフィチニブ(「イレッサ」)、エルロチニブ(「タルセバ」)、バンデタニブ(「ザクティマ」)、スニチニブ(「スーテント」)、ソラフェニブ(「ネクサバール」)、ボルテゾミブ(「ベルケイド」)、エタネルセプト(「エンブレル」)、ペガプタニブ(「マクジェン」)があり、イマチニブは慢性骨髄性白血病を、ゲフィチニブ、エルロチニブ、バンデタニブは小細胞性肺癌を、スニチニブ、ソラフェニブは腎癌を、ボルテゾミブは多発性骨髄腫を、エタネルセプトは関節リウマチを適用としている。ちなみに、ボルテゾミブはプロテアソーム阻害剤で、エタネルセプトは遺伝子組換えによるTNFそのもので、TNF‐α作用を阻害することにより作用を発揮する。ペガプタニブは選択的なVEGF阻害剤で、脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症を適用とするユニークな薬である。ボルテゾミブ、ベバシズマブとともに血管新生阻害剤と称されている。抗体医薬はモノクロナール抗体(免疫グロブリン製剤)で、遺伝子組換え技術により製造されており、抗原抗体反応を利用して特定の分子の機能を阻害する。リツキシマブ(「リツキサン」)、セツキシマブ(「アービタックス」)、インフリキシマブ(「レミケード」)、トシリズマブ(「アクテムラ」)、トラスツズマブ(「ハーセプチン」)、ベバシズマブ(「アバスチン」)、アダリムマブ(「ヒユミラ」)があり、リツキシマブはB細胞性非ホジキンリンパ腫、白血病を、セツキシマブは結腸・直腸癌を、トラスツズマブは抗HER2乳癌を、ベバシズマブは大腸癌、肺癌を、インフリキシマブ、トシリズマブ、アダリムマブは関節リウマチをそれぞれ適用としている。
 癌治療薬としての分子標的薬は従来の殺細胞性の薬剤と異なり、癌細胞の増殖を抑制するのみと考えられたが、実際には癌細胞を死滅させる作用のあることがわかった。また副作用はあまりないものと考えられていたが、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ボルテゾミブで間質性肺炎での死亡例があり、警告が出されている。分子標的薬の効果はすばらしい反面、重篤な副作用の発現もみられることから、その投与には慎重でなければならない。[幸保文治]

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