世界大百科事典(旧版)内の力学的自然観の言及
【アインシュタイン】より
…しかし,若きアインシュタインはそれらにではなく,物理学の理論的基礎にかかわる問題に注目した。19世紀の終りに,力学のほかに熱力学,電磁気学という理論体系をもつに至った物理学は,その基礎的なことはすべて見いだされてしまったと思われるようになったが,他方で,それまで物理理論の究極目標とされていた,すべての自然現象をそれを構成する要素(粒子であれ波動であれ)の力学によって説明しようとする,いわゆる力学的自然観が深刻な危機を迎えていた。気体が真空中を飛びかう分子群からなると仮定して気体の諸性質を説明する理論(気体分子運動論),光を弾性媒質(エーテル)の波動とみて光の伝搬の諸性質を説明する理論など,力学的自然観はみごとな成功をおさめていたが,他方で,熱力学第2法則を純粋に力学だけから説明することができないこと,また,気体比熱の説明の困難,光学を統一した電磁場理論の力学的基礎づけの失敗などが明らかになってきたのである。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」