労働観(読み)ろうどうかん

世界大百科事典(旧版)内の労働観の言及

【経営参加】より

…各社会により,関係主体の中で政府の労働政策,労働組合の要求,労務管理などの相対的比重の濃淡はあるが,それらの内容についてみると,労働環境の人間化,職務の充実化,職場の自律化,所得の安定化等々の動きが共通しており,それらは一括して職場の〈生活空間化〉への動きとでも称しうるであろう。こうした動きには,その根底において歴史的に意義深い労働観の変化の潮流があると多くの人が論じているが,その一例として西欧18ヵ国31の労働組合ナショナル・センターの連合体であるヨーロッパ労連(ETUC)が78年に作成した政策文書の一節〈労働の質〉から一文を引用すると次のごとくである。 〈人間がもっぱら利己心と恐怖と貪欲で行動するとみる古典的な〈経済人〉の観念で,労働の動機を把握しようとするのは今や保守的見地である。…

【労働】より

…こうして,一方では労働は個人の能動的活動にひきつけてとらえられていきながら,他方労働と生産のつながりを問う局面では,それはますます抽象的な社会的に平均化された,時間で計測される量としてとらえられるようになるのである。
【現代の労働と労働観】
 スミスからマルクスに至る,労働を富の生産と結びつけ,富の指標としての価値を労働によって説明しようとした大思想家たちの労働観は,現代のわれわれの労働観に大きな思想的影響を保ちつづけている(〈労働価値説〉の項参照)。それはこの人々の思索した18世紀から19世紀前半のヨーロッパという時代が,人口の過半がいまだ農業に従事し,都市の生活者はギルド時代の文化と職業観を強く保持し,しかし生産活動の全体には機械に基礎をおいた産業が急速に広がりつつある過渡期であったからであろう。…

※「労働観」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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