…1955年5月~56年8月,《読売新聞》に連載。生涯を小普請でおわった勝小吉はせめて息子の麟太郎(のちの海舟)だけでも世に出したいと考え,日夜心をくだく。その小吉の江戸っ子侍的な気質は麟太郎にも伝わっており,人間的交渉もまたそこに生まれる。…
…幕末・明治の政治家。下級幕臣勝小吉の長男で通称麟太郎,名は義邦,海舟は号。幼少のころ将軍徳川家斉の孫初之丞の相手をつとめたが,その死によって微禄御家人の生活に戻り,島田虎之助について剣術をきわめ,ついで島田のすすめで蘭学により西洋兵学を身につけた。…
…江戸時代から明治末ころまでは,少年,青年のレクリエーションとしてけんかをする風習があった。勝海舟の父の勝小吉は小身の旗本だったが,若者だったころ,たいくつだから隣町へ行ってけんかでもしてこようと,仲間とともに隣町へ行ったが,向こうが本気にして刀を抜いたので,けがでもさせてはたいへんだと思って,逃げて帰ったと《夢酔独言》に回想をのべている。 けんかをしたがる者をけんか売りという。…
…無頼の生涯を独特の語り口で叙したユニークな自伝。著者は勝左衛門太郎惟寅(俗称小吉,号夢酔,勝海舟の父親)。1843年(天保14)の自序がある。幕末の下級幕臣の生態が活写されていておもしろいが,本人および海舟生前は刊行されなかった。雑誌《旧幕府》連載で世に紹介され,改造社版《海舟全集》第9巻に収録されたが誤読が多く,その後の刊本も同じ誤りを踏襲している。自筆本は戸川氏蔵。【松浦 玲】…
※「勝小吉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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