朝日日本歴史人物事典 「勝小吉」の解説
勝小吉
生年:享和2(1802)
近世後期の旗本。幼名亀松。諱は維寅。左衛門太郎とも称した。代官などを勤めた男谷平蔵の3男で,7歳で勝家の名跡を継ぐ。勝家は家禄41石余の小身であるが,御目見以上の幕臣。無役(小普請)のため,16歳になると就職運動に励んだが,かなえられず,一生を市井の人として過ごす。天保9(1838)年37歳で家督を子の麟太郎(海舟)に譲って隠居し,夢酔と号した。42歳のとき,鶯谷に庵を結び,自らの自由奔放な生き方をふりかえり,子孫への戒めとした『夢酔独言』を著した。飾り気のない口語文で綴られ,都市の遊民と化した江戸武士の生活・意識を知り得る書で,これをもとに子母沢寛は小説『おとこ鷹』『父子鷹』を書いた。
(松尾美恵子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報