十楽の津(読み)じゅうらくのつ

世界大百科事典(旧版)内の十楽の津の言及

【桑名[市]】より

…一方,陸路を通じて各地の商人も往来しており,58年(永禄1)ころには美濃商人が桑名の定宿で近江商人と美濃産紙の商取引を行っている。これ以前から〈十楽の津〉として自由都市的性格をもち,四人衆とか三十六家氏人による自治支配が行われた。95年(文禄4)氏家氏が2万5000石で入り,関ヶ原の戦の翌1601年(慶長6),重要地点なので徳川氏の重臣本多忠勝が入部して一躍15万石の桑名藩の城下町となり,城郭整備と町割りが実施された。…

【十楽】より

…同様の例として〈一楽名〉も見られるが,このように広く庶民の間で用いられるにつれて,十楽は楽に力点を置いて理解されるようになる。戦国時代,諸国の商人の自由な取引の場となった伊勢の桑名,松坂を〈十楽の津〉〈十楽〉の町といい,関,渡しにおける交通税を免除された商人の集まる市(いち)で,不入権を持ち,地子を免除され,債務や主従の縁の切れるアジールでもあった市を〈楽市〉〈楽市場〉といったように,〈十楽〉〈楽〉は中世における自由を,十分ではないにせよ表現する語となった。〈楽雑談〉〈楽書〉などはみなその意味であり,織田信長はこの動きをとりこみ,みずから安土(あづち)に楽市を設定している(楽市・楽座)。…

【津】より

…このような津刀禰は,《庭訓往来》に〈淀・河尻の刀禰〉がみえるように,中世を通じて長く残った。そしてさらに,中世都市の発展とともに,津の組織は,みずから〈十楽の津〉と称し〈上儀をさへ承引致さず〉といわれた伊勢国桑名や,有名なのような自由都市への展開をみせる場合があった。【保立 道久】。…

※「十楽の津」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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