世界大百科事典(旧版)内の占有の引渡しの言及
【偽文書】より
…これに対し,イングランド,ドイツ,北フランスなどゲルマン法の地域では,契約,不動産譲渡等の権利関係の変更は,文書によらず口頭で行われ,証人の面前でなされる象徴的儀礼によって法的に有効とされた。例えば,土地の譲渡者は譲受人とともに現地に赴き,物件の四囲をともにめぐり歩き,証人の前で,譲渡者はその土地の土塊を小刀で切り取り譲受人に直接に手渡すという儀礼(これを〈占有の引渡し〉という)によって,譲渡行為が成立し,その事実が裁判集会に報告され,法的に有効と認められる。この譲渡が文書にしたためられ,あるいは教会の福音書の余白に記録されることは偶発的に行われたにすぎない。…
※「占有の引渡し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」