世界大百科事典(旧版)内の取替金の言及
【国役普請】より
…すなわち関東,東海,越後,美濃,畿内の河川普請について,一国一円を領有するものや20万石以上の大名はこれまでどおり自普請を行うこととし,それ以下の大名・旗本・寺社の所領および幕領内の普請は,幕府が総費用の10分の1を負担して遂行し,残額は国役金として幕領・私領の区別なく高割りをしてその農民より徴収するというものである。例えば関東地域では利根川,荒川,鬼怒川など7川が国役普請対象河川となり,ある年度に幕府普請方役人団の手で幕府の立替支出(〈取替金〉と称する)をもって普請した後,その年度中の普請総額の1割を幕府の純支出とし,残余の9割をこの地方の武蔵,下総,常陸,上野,安房,上総の6ヵ国288万石余に高割りし,農民より国役金として幕府立替支出分を回収するという形をとるのである。これは普請が幕府側の判断のみで行われる標準的な型であるが,私領主側よりの出願による国役普請の場合(〈私領願国役普請〉と称する)には,当該普請個所を含む私領村について村高100石当り金10両の私領出金分を幕府に提出せねばならなかった。…
※「取替金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」