世界大百科事典(旧版)内の口唇サディズム期の言及
【口唇期】より
…この時期は,対象を体の中にとり入れてゆく時期であるために,フロイトは〈食人的〉であるとも形容しており,この体内化incorporationが人間の心的機制としての同一化identificationの原形をなしている。さらにK.アブラハムは,口唇期の中に,後期の歯の発育に呼応する〈口唇サディズム期oral sadistic stage〉をとり出した。この時期は単に対象をとり入れるだけではなく,心理的には対象を攻撃し破壊するという関係が生じる。…
【サディズム】より
…広義には性的満足は伴わなくても,残酷さの中に喜びを見いだす傾向は広くサディズムとみなされる。S.フロイトならびにK.アブラハムの精神分析的人格発達理論においては,乳児が母親の乳房をかむことに満足を感じる時期(口唇サディズム期oral‐sadistic stage)および幼児が親の意に反抗して大便を貯溜したり排泄したりすることに満足を感じる時期(肛門サディズム期anal‐sadistic stage)にこの用語をあてている。このように精神分析的発達理論においてはサディズムなる概念は人間に普遍的な現象に対して用いられ,何ぴともこれを通過していくものとみなされている。…
※「口唇サディズム期」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」