吉備御友別(読み)きびのみともわけ

朝日日本歴史人物事典 「吉備御友別」の解説

吉備御友別

古事記』『日本書紀』によれば,吉備地方(岡山県)に本拠を置く豪族吉備臣の祖とされる。応神天皇妃,兄媛の兄。応神天皇が兄媛を伴って難波に行幸し,高台に登ったとき,兄媛は西を眺めて父母をしのんで嘆き,帰郷を願う。天皇はこれを許した。のち,天皇が吉備に行幸した際,御友別は兄弟,息子たちをその食膳に奉仕させたので天皇はこれを喜び,吉備の国を分割して彼らに与えた。すなわち,長子稲速別に川島県を,中子仲彦に上道県を,弟彦に三野県を,御友別の弟鴨別に波区芸県を,兄浦凝別に苑県を与え,また織部(機織を業とする品部)を兄媛に賜ったという(『日本書紀』)。この御友別の伝承は,『古事記』『日本書紀』の孝霊天皇条に記載される他の吉備氏の伝承に比べて古形を残しており,5世紀ごろまでの吉備氏の内部関係を物語るものとされる。

(寺田恵子)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「吉備御友別」の解説

吉備御友別 きびの-みともわけ

御友別(みともわけ)

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