世界大百科事典(旧版)内の君民協約憲法の言及
【憲法】より
…大革命前夜に,旧体制の特権層の側では,国王の意思をもってしても動かすことのできぬ王国基本法の存在を援用して,憲法がすでにあるといおうとしたのに対し,シエイエスは,フランスは憲法をもっておらず,これから作らなければならない,と説き,憲法制定権力を持つ国民の意思による憲法の定立を主張した。彼にあっては,憲法制定権力は国民だけが持ちうるのであり,したがって,作られるものは必然的に民定憲法なのであるが,君主の憲法制定権力を前提として作られる欽定憲法という考え方自体,成文憲法原理と密接に対応しているのであって,それ以前には,憲法は,作られるものでなく在るものだったのである(欽定憲法,民定憲法および君民協約憲法という区別は,それぞれ,憲法制定の権威の所在が,君主の意思,国民の意思および両者の合意におかれることを示すものである)。今日の問題としていえば,成文かつ成典の硬性憲法という形式的標識から見た〈憲法〉の範囲を確定するという仕事は,そのような憲法の最高法規性を裁判的方法によって確保しようとする違憲審査制と結びついて,権力への制限という憲法の作用をどれだけ強く,または弱くするかという,実質的意義に満ちているのである。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」