朝日日本歴史人物事典 「土佐少掾」の解説
土佐少掾
江戸前期の古浄瑠璃の太夫。延宝から宝永(1673~1711)ごろ江戸で流行した土佐節の開祖。人形浄瑠璃薩摩浄雲座の人形遣い内匠市之丞の子。寛文初年より浄雲の下で内匠虎之助と称して活躍しはじめ,寛文11(1171)年には独立して土佐座を興し,掾号を受領して土佐少掾橘正勝と名乗った。延宝8(1680)年に「酒呑童子」を4代将軍家綱の上覧に供し,貞享・元禄期(1684~1704)にはしばしば諸大名の屋敷で上演している。薩摩系の硬派的傾向に抒情味を加えて独自の曲風を確立し,「定家」「三世二河白道」など古典的題材に当世風俗を取り入れた作が多い。<参考文献>鳥居フミ子『近世芸能の研究―土佐浄瑠璃の世界』,『土佐浄瑠璃正本集』全3巻
(鳥居フミ子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報