《多武峰延年詞章》(読み)とうのみねえんねんししょう

世界大百科事典(旧版)内の《多武峰延年詞章》の言及

【延年】より

…この延年の風流には大風流と小風流があり,せりふによって筋書が進行する点において共通するが,大風流は大がかりな作り物が出て,舞楽で終わり,小風流はさしたる作り物も出ず,最後も単なる舞で終わる。作り物や舞楽の有無に象徴されるように,大風流と小風流の区別はその規模の大小によるとみてよいが,それらがどのような内容と結構をもっていたかをよく示すのが多武峰念誦窟の僧実禅が1544年(天文13)に書写した《多武峰延年詞章》で,それには大風流24曲,小風流15曲が収載されている。その曲名を二,三掲げると,《西王母事》《周武王船入白魚事》《廉承武琵琶曲事》《玄宗皇帝幸月宮事》(以上大風流),《天台山之事》《荘子事》《声明師詣清涼山事》(以上小風流)などがあり,多くが中国の故事に取材しているのは,やはり寺院芸能という特殊性のゆえであろう。…

【開口】より

…寺院の延年において演ぜられた,言葉を主体とした芸能。その実態をよく伝えるのが1544年(天文13)書写の《多武峰(とうのみね)延年詞章》の開口7編で,それによればまず仏法の功徳などが述べられたあと,一定の題材に沿った洒落や秀句が比較的長く語られ,最後に延年の場に来臨した諸衆を祝福するという形になっている。頭尾の祝言はまじめなものだが,それにはさまれた洒落や秀句の部分は相当に滑稽なものである。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」