世界大百科事典(旧版)内の奇想画の言及
【江戸時代美術】より
…後期の美術を主導した民間の絵画の分野では,前述の外来絵画の刺激のもと,宝暦~天明(1751‐89)のころ京都画壇において従来の面目を一新するような新しい動きがあらわれる。池大雅,与謝蕪村らによる南画(文人画),円山応挙による写生画,伊藤若冲,曾我蕭白らによる奇想画がそれである。南画は,中国の文人画の脱俗の理念や南宗画の山水画法とをよりどころにした中国趣味の強い主観主義的画風であり,写生画は,中国,ヨーロッパの写実手法と日本の伝統的な装飾画法の折衷による客観主義的描写であり,奇想画は新奇な個性的表現をねらうなど,それぞれ傾向,主張を異にしながらも経験主義,自我意識の目ざめといった時代の思想傾向を共通の背景としている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」