世界大百科事典(旧版)内の奴隷意志の言及
【自由意志】より
…しかしその命題は,伝統的な教会や国家の拘束を排するルネサンス人の意識にあわず,エラスムスとの間に自由意志をめぐる論争をひき起こした。ルターは晩年のアウグスティヌスとペラギウスとの間に生じた論争をふまえて,人間の自由意志は現実には恩恵(恩寵)を受けつけない〈奴隷意志servum arbitrium〉であると断定する。同様の主張は17世紀後半のジャンセニストにもあり,近代においては中世的な〈恩恵と自由意志〉の調和は破れたといってよい。…
【ルター】より
…だから,どれほどキリスト教的にみえてもルターはエラスムスのキリスト教的人文主義を認めることはできなかった。人間の〈奴隷意志〉の主張は,神中心からの必然的な要請にほかならない。そして,神の恵みに相応じるのは,ただ信仰のみである。…
※「奴隷意志」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」