世界大百科事典(旧版)内の容易磁化方向の言及
【磁気余効】より
… 熱ゆらぎ磁気余効はL.ネールによって提唱されたもので,磁化の回転,または磁壁の移動が熱的なゆらぎで起こり,その緩和過程の緩和時間が非常に長いものから非常に短いものまで広い範囲にわたって連続的に分布をもつとして説明をするものである。単一磁区からなる微粒子の集りと考えられるような強磁性体を例にとってみると,それぞれの微粒子の磁化は異方性エネルギーにより定まる安定な方向(容易磁化方向)のどれかに向いている。他の容易磁化方向へ移るためには,磁化は途中の異方性エネルギーの高い状態,すなわちエネルギーの山を越えなければならないが,このエネルギーの山を熱的なゆらぎで越えるとする。…
【磁区】より
…磁極の生じない場合のほうが静磁エネルギーは低くなり,このエネルギーが低くなるほど磁区構造は安定する。結晶磁気異方性エネルギーは結晶の軸と磁化の角度に依存するエネルギーで,もっともエネルギーの低い方向を容易磁化方向と呼び,各磁区内の磁化は容易磁化方向のどれかの方向に向いている。磁歪の場合は,各磁区での結晶変形が磁壁のまわりでひずみを生じないような磁区が安定する。…
※「容易磁化方向」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」