富士山静岡空港(読み)フジサンシズオカクウコウ(その他表記)Mt.Fuji Shizuoka Airport

デジタル大辞泉 「富士山静岡空港」の意味・読み・例文・類語

ふじさんしずおか‐くうこう〔フジサンしづをかクウカウ〕【富士山静岡空港】

静岡空港愛称

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知恵蔵 「富士山静岡空港」の解説

富士山静岡空港

静岡県の島田牧之原の両市にまたがる丘陵地に建設された地方空港。空港法上は「地方的な航空運送の確保」を目的とし、地方公共団体(静岡県)が設置・管理する第3種空港だが、経営は民間企業の出資で設立された富士山静岡空港株式会社が担う。総事業費は約1900億円、管理面積は約190ha。現在、多くの地方空港は経営難にあり、政府の空港整備計画も見直されているため、全国98番目となる本空港は「最後の地方空港」と見られている。
この地に建設が確定したのは1987年。「一県一空港」をめざす国の方針と静岡県の要望が合致し、第6次空港整備5カ年計画(91~95年)によって、97年に着工した。しかし、静岡県は東海道新幹線東名高速道路が通り、予定地も中部国際空港に2時間程度でアクセスでき、また羽田空港との競合も避けられないため、当初から需要採算性を疑問視する声が強かった。地元の反対運動に加えて、着工後、絶滅危惧(きぐ)種のオオタカ営巣が発見されるなど、建設はしばしば中断。さらに完成を間近に控えた2008年9月には、滑走路付近の私有地に航空法の制限を超える高さの立ち木があることが分かり、09年3月の開港予定は延びた。土地収用時の調査の際、県が正確な測量を怠ったことが原因である。これにより、2500mの滑走路も2200mに短縮されるなど、度重なる県の失策に石川嘉延知事の責任が問われた。県は地権者に立ち木の伐採を求めたが、地権者は知事の辞任が伐採の条件と主張。
最後は知事が辞職表明し、県と地権者によって179本の立木が伐採された。
09年6月4日の開港時には、国内6路線(札幌・小松・福岡・熊本・鹿児島・沖縄)、国外2路線(ソウル・上海)の定期便が就航。開港にともない、県は観光客の誘致に力を入れている。また09年5月に富士市・富士宮市・御殿場市・裾野市・小山町・芝川町が、観光振興を目的とした「富士山ネットワーク会議」を発足させるなど、とりわけ県東部で開港特需への期待が高まっている。

(大迫秀樹 フリー編集者 / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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