朝日日本歴史人物事典 「富木常忍」の解説
富木常忍
生年:建保4(1216)
鎌倉後期の日蓮宗の僧。日蓮の初期からの有力檀越(信者),中山門流の開祖。俗名は常忍,法名は常忍日常と号す。本拠地は因幡国(鳥取県)法美郡富城郷で父の代に関東移住した。下総国(千葉県)八幡荘谷中郷に在住し日蓮と鎌倉で出会う。以後日蓮に帰依し,識字能力が高いことなどから,『観心本尊抄』(国宝)の閲読と保管を委ねられた。佐渡流罪の難にあう師日蓮を物心の両面から支援し,子日頂 も入門させた。晩年,日頂との間に乖離が生じ,谷中郷若宮の持仏堂を法華寺とし,日蓮の教えを弘通(布教)するかたわら,遺文収集と保存に務めた。<参考文献>中尾尭『日蓮宗の成立と展開』
(佐々木馨)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報