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対称性の自発的破れ たいしょうせいのじはつてきやぶれspontaneous breakdown of symmetry

知恵蔵の解説

対称性の自発的破れ

法則が「均一」「等方」などの対称性を求める系に非対称が現れること。温度低下に伴う相転移でよく見られる。非対称の向きは偶然のいたずらで決まり、全体に及ぶので自発的に見える。強磁性体の磁性は代表例。量子力学がつかさどる世界にみられる「真空」は、本当のからっぽではなく、最も低いエネルギーをもつ状態で、全体が非対称になっている。これは、もともとの真空にあったはずの対称性が自発的に破れたものと考えられている。南部陽一郎(現・米シカゴ名誉教授)は1960年代初め、この破れのしくみを畑違いの超伝導現象の理論探究を通じて解明し、素粒子物理に取り込んだ。さまざまな素粒子がヒッグス粒子によって質量をもつしくみもこの破れがあるからこそ、と考えられている。南部は2008年、小林誠(高エネルギー加速器研究機構名誉教授)、益川敏英(京大名誉教授)とともにノーベル物理学賞を贈られることになった。

(尾関章 朝日新聞記者 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報

大辞林 第三版の解説

たいしょうせいのじはつてきやぶれ【対称性の自発的破れ】

〘物〙 場の理論で、ある対称性を持つ真空とそれが破れた真空の間の遷移をいう。相転移現象はこの事実によっている。 → 真空のエネルギー

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世界大百科事典内の対称性の自発的破れの言及

【場の量子論】より

…分散公式理論はその後解析関数,複素変数を用いる場の理論へと進展する。60年南部陽一郎(1921‐ )は真空が非対称になることがあることを見つけ,もともとの世界が対称であっても実際の世界が非対称になりうるという,対称性の自発的破れの理論を提唱した。この考えは電磁弱相互作用の理論で成功をおさめ,さらに大統一理論へと進む。…

※「対称性の自発的破れ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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