世界大百科事典(旧版)内の対話的定位の言及
【散文】より
…バフチンは,狭義の〈詩的ジャンル〉が,言語の単一性と中心化,いわば求心力の方向に沿って発展してきたのに対して,〈小説〉にたどりつく〈散文の諸ジャンル〉の形成は,言語の脱中心化,いわば遠心力の方向に沿ってなされたとする。彼によれば,散文は〈対話的定位〉という言葉の本質的機能の一つに基づく表現形式である。すなわち,対象に向かおうとする散文の言葉は,他者の言葉が対話的に渦巻いている緊張した環境の中に織り込まれ,ある言葉とは合流し,ある言葉とは反発し合い,またある言葉とは交差しながら,その過程で自己の意味と表現に近づき,自己の文体の形式化を実現する。…
※「対話的定位」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」