小ロマン派(読み)しょうろまんは

世界大百科事典(旧版)内の小ロマン派の言及

【幻想文学】より

…いわゆるドイツ・ロマン派は,E.T.A.ホフマンの《黄金の壺》《悪魔の霊液》をはじめとする膨大な作品群,ノバーリスの《青い花》,さらにシャミッソー,クライスト,L.A.vonアルニムなどの作品によって幻想文学の新たな宝庫を形成した。フランスでは,ユゴー,ラマルティーヌ,ビニーらロマン派の中心的大作家,大詩人たちは幻想文学に特に見るべき作品を残さず,むしろマイナー・ポエットたち,〈小ロマン派petits romantiques〉のボレルらによって,時代精神を極度に圧縮しつつ逆にその反時代性をあらわにする幻想小説の佳品が作られている。ネルバルは,生前はそれら群小詩人の一人としかみなされなかったが,《幻想詩編》をはじめとする彫琢をきわめた深遠な詩編,《オーレリア》を頂点とする夢と狂気に満ちた小説群は20世紀になってきわめて高い評価を受け,19世紀を代表する幻想文学の巨匠と見なされるにいたった。…

【ボヘミアン】より

…1835年ころのネルバル,ゴーティエ,ボレルらの集団と,それから約10年後の,ミュルジェールHenri Murger(1822‐61),シャンフルーリらの集団があった。とくに前者は,ロマン主義運動に共鳴し,七月革命に熱狂した〈青年フランス派Jeune France〉の世代であり,〈小ロマン派〉とも称される。両者はいずれも文学・芸術で身を立てようと情熱に燃えた若者たちであったが,やがて七月王政下のブルジョア社会の桎梏の中で,芸術と人生の乖離(かいり)に悩み,挫折して悲惨な生活へと追いつめられた者も少なくない。…

【ボレル】より

…リヨン生れ。ネルバルらとともにいわゆる〈小ロマン派Petits Romantiques〉の世代に属する風変りな人物で,みずから〈狼人Lycanthrope〉と称する。《ラプソディ》(1832)のような詩集,《シャンパベール,背徳物語集》(1833),《ピュティファル夫人》(1839)などの小説には,独自のダンディズムと反社会的態度があらわれており,〈黒いユーモア〉的な要素も多分にある。…

※「小ロマン派」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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