世界大百科事典(旧版)内の小唄映画の言及
【小市民映画】より
… 1920年代の初め,野口雨情作詞,中山晋平作曲の流行歌《枯れすすき》が全国をふうびし,これを主題歌とする《船頭小唄》(1923。サイレントの画面や字幕に歌詞がでた),続く《籠の鳥》(1924)などの〈小唄映画〉が流行した。23年の関東大震災を間にはさむ慢性的経済恐慌にあえぐ安月給の小市民層の絶望とペシミズムの心理を反映した現象であったが,この絶望とペシミズムは,やがて1920年代末に左翼思想の影響を受けた〈傾向映画〉が生まれてくる潜在的基盤ともなった。…
【日本映画】より
…それらは従来の新派とあまり変わらなかったが,観客に受けて,その延長で流行歌《枯すすき》をとり入れた(無声映画だったので,歌詞が字幕に出て,弁士あるいは歌手が歌ったといわれる)岩田祐吉・栗島すみ子主演《船頭小唄》(1923。池田義信監督)がつくられて大ヒットし,〈小唄映画〉が各社で量産されることとなり,なかでも帝キネの《籠の鳥》(1924。松本英一監督)は大当りして,主演の沢蘭子を人気スターにした。…
※「小唄映画」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」