世界大百科事典(旧版)内の小学教則の言及
【読み書きそろばん(読み書き算盤)】より
…近代に入り欧米に追いつくため,近代化・工業化をすすめるにあたり,為政者は生産や軍事の担い手である民衆を文盲状態にとどめておくことはできず,学校体系をととのえて読み書きそろばんの基礎能力だけはすべての子どもに習得させようと努めた。1872年(明治5)〈学制〉公布直後に出され,実際に小学校教育の内容を規定した文部省布達〈小学教則〉では,入門期,第1学年前半の教科は,修身口授(ぎょうぎのさとし)のほかは綴字(かなつかい),習字(てならい),単語読方(ことばのよみかた),単語諳誦(ことばのそらよみ),洋法算術(さんよう)であり,すべて読み書きそろばんに関するものであった。科学技術振興のため,政府としては自然科学関係の教育にも力を入れなければならなかったが,民衆の要求はなによりも読み書きそろばんであり,しかも〈算〉については西洋式の洋算をとりいれ,石盤を使って筆算を教えようとしたのだが,それを教えることのできる教師が少なかったこともあり,さらにここにも父母の要望があってそろばんの教授が多かった。…
※「小学教則」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」