世界大百科事典(旧版)内の常居所の言及
【住所】より
…また,外国人との取引に関してどの国の法律が適用されるかの基準として当事者の住所が意味を持つ場合もある(法例28条)。【栗田 哲男】
[国際私法における常居所]
常居所habitual residenceとは社会生活を行ううえで人が現実に通常居住していると認められる場所のことであって,常住居所とか〈平常の居所〉とかいわれることもある。日本では1964年に〈遺言の方式に関する法律の抵触に関する条約〉(1961年,ハーグ)を批准し,〈遺言の方式の準拠法に関する法律〉を制定したときに,初めて導入されたものである(同法2条4号。…
【本国法主義】より
… しかし人はその住所の設定によりその生活環境を選定するのであるから,属人法(属人法主義)はその住所を基準として決するのが本人の利益に合致するとか,私法秩序は必ずしも国家を単位として構成されるものではなくまた公法的基準である国籍を基準とすることは適当でない,あるいはまた人の身分,能力についての争いは通常住所地において生ずるのであり,その地の裁判所に管轄権が認められるのが普通であるし,第三者の利益を保護するためにも住所地法主義のほうがすぐれているなどの点から住所地法主義を支持する動きも強い。そしてまた最近は国籍とか住所という法律上の概念ではなく,〈常居所habitual residence〉という事実上の概念を用いることで一定の人の現実の保護を図ろうとすることがハーグ国際私法条約を中心に強く主張され,日本もすでに遺言の方式や未成年者の扶養義務に関するハーグ条約を批准した結果,常居所地法の適用を認めていたが,1989年の法例改正により補助的に採用された。ただしこの場合の常居所地法が属人法であるといえるかについては疑いがある。…
※「常居所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」