最新 地学事典 「座屈褶曲」の解説
ざくつしゅうきょく
座屈褶曲
buckle folding ,buckling fold ,buckle fold
座屈(buckling)という力学的原因によって形成される褶曲,曲げ褶曲と対照をなす。棒状ないし板状の物体が,棒の長軸または板に平行な方向の圧縮力を受けた場合,圧縮力の大きさが一定の限界を超えると圧縮力に直角な横方向のごく小さい力に対しても物体にたわみが生じ,それが時間とともに指数関数的に増大するような回復しない変形となって進行する。この現象を座屈不安定(buckling instability)といい,M.A.Biotがこの考えを岩石の褶曲の問題に適用して座屈褶曲を力学的に理論化した。H.Rambergによれば,側方圧縮によって座屈が発生するためには,相重なる岩層の力学的性質が異なるか,または単一の岩層であっても力学的異方性が存在し,圧縮軸に平行な方向で最も剪断が生じやすいことが必要である。座屈褶曲の変形速度は,たわみの波長ごとに異なるため,時間がたつにつれて進行速度の大きい波長の褶曲が卓越するようになる。座屈褶曲という語はこれとは別に,フレキシュラル・スリップ褶曲の一種として,不均質な多層系中で変形した,ほとんど厚さの変化を伴わないコンピテント層の褶曲に対して用いられることもある。
執筆者:植村 武
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

